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by シツカン(University of Leicester 博物館学修士・Merit)
2018年に修士論文を書いていたとき、Google翻訳はまだ「やっとマシになってきた」レベルだった。DeepLは存在していたが日本語対応が弱く、ChatGPTは影も形もない時代。
8万字の英語論文を、そのような環境で書いた。
今、DeepLとChatGPTを使って「あの頃の自分だったらどう使うか」を考えながら試してみた。結論を先に言うと、この2つは目的がまったく異なるツールであり、組み合わせることで初めて力を発揮する。
まとめ
- DeepLは翻訳ツールではなく「自分で構築した日本語の論理を英語にマッピングする道具」として使うのが正しい活用法
- ChatGPTは文章を「書かせる」のではなく「構成確認・英語表現の相談・フィードバック解釈」の相談相手として使う
- “書かせる”(生成)と”直させる”(校正)は別問題——AIに文章を書かせると引用ルール違反になるリスクがある
DeepLは「翻訳」ではなく「英語化」のツールだ
多くの留学生がDeepLを「翻訳ツール」として使う。それは正しいが、もったいない使い方でもある。
DeepLの本当の強みは、日本語で考えた内容を自然な英語に変換する速度と精度 だ。
英語で論文を書くとき、非ネイティブが詰まるのは「内容が思いつかない」のではなく「英語でどう表現するかわからない」という場面が多い。そこでDeepLを使う。
実際のワークフロー:
- 日本語で段落の要点を箇条書きにする
-
それをDeepLに入れて英訳する
-
出てきた英語を自分で読んで、おかしい部分を直す
-
GrammarlyまたはLanguageToolでチェックをかける
この流れだと、「英語で考える」負荷が大幅に減る。博物館学の修士課程で求められるアカデミックな表現も、DeepLはかなり自然に出してくる。
ただし注意が一つある。DeepLが出した英語をそのまま使わないこと。翻訳の「匂い」が残ることがあるし、自分が理解していない表現を使うのはリスクだ。あくまで「たたき台を作るツール」として使う。
ChatGPTは「相談相手」として使う
ChatGPTをどう使うかは、留学生の間でも意見が分かれる。
私の立場は明確で、「英語ライティングの個人チューター」として使うのが最も誠実で効果的だと思っている。
具体的には次のような質問をする:
- 「この段落の論旨が伝わるか読んでほしい」
- 「この接続語(however / therefore / nevertheless)の使い方は正しいか」
- 「この表現を学術的な英語で言うとどうなるか」
これは「書かせる」のではなく「相談する」使い方だ。
「書かせる」と「直させる」は別の問題
ChatGPTに「この論文のセクションを書いて」と頼むことはプレイジャリズム(学術的不正)に当たる可能性がある。各大学・プログラムによってAI使用のポリシーが異なるため、使う前に必ず確認すること。
「英語表現を教えてもらう」「文法の質問をする」のと、「論文の内容をAIに生成させる」のは、倫理的にも機能的にも別物だ。前者は辞書や参考書と同じ補助ツール、後者は不正行為になりうる。
2本の使い分けまとめ
日本語の考えを英語にしたい→DeepL、英語の自然さを上げたい→DeepL Write、文法・スペルチェック→Grammarly / LanguageTool、英語表現を相談したい→ChatGPT、段落の論旨確認→ChatGPT、論文を書いてもらう→❌ やってはいけない
2018年の自分が今の環境で論文を書いたら
正直に言う。はるかに楽だったと思う。
ただ、ツールなしで格闘した7年前の経験は、今の自分のライティング力の基礎になっている。
今の留学生には、ツールをうまく使いながら「自分で考える」部分を守ってほしい。ツールはあくまで補助だ。そこだけは2018年も2026年も変わらない。
この記事を書いた人
シツカン。University of Leicester・School of Museum Studies 博物館学修士(Merit)。
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